最初の父と二番目の父

姉と私はひそかに最初の父のことを『お帽子様』と呼んだ。
『お帽子様』は、家族の誕生日には苺のショートケーキ一台それに桃色のカーネーション五本ほどの花束を買ってくるひとのように見えた。

 川上弘美『いとしい』(幻冬舎文庫、2000年)8頁-9頁

f:id:satokoromo:20210730205207j:plain

 

 

二番目の父は猿を飼っていた。
母と再婚する前から飼っていたその猿は、名をタマといい、二番目の父によると猿のタマは正式には四代目タマなのであった。
二番目の父の最初の奥さんは動物好きで、結婚してから飼いはじめた猫が一代目タマ、二代目タマは文鳥で三代目タマは犬だった。

 川上弘美『いとしい』(幻冬舎文庫、2000年)11頁

f:id:satokoromo:20210730005554j:plain

 

バナナの蒸しパン(スンピン)

彼の瞳は溶け出さんばかりに幸福そうで、私もすっかり心を許して彼の肩を抱いたり、バナナの蒸しパン(スンピン)を口に運んであげたりする。
 山田詠美『熱帯安楽椅子』(集英社文庫、2014年)150頁

 

私がこの小説を初めて読んだ20年前は、「スンピン」を調べたくても、どうにも手段がなかったっけ。

でも今は、YouTubeで作り方の動画が見られる。

何て素晴らしい時代なんだろう!

youtu.be

 

 スンピンには、バナナを使った「Sumping Pisang」と、カボチャを使った「Sumping Waluh」があるらしい。  

f:id:satokoromo:20210727203842j:plain

 

Sumping Pisang」は、バナナを米粉の生地で包んだもの。

「Sumping Waluh」は、生地の中にカボチャのすりおろしが入っている。

どちらもバナナの葉で包んである。

食べてみたいなぁ。

youtu.be

スウェーデンの掃除機ケーキ、ダムスーガレ

彼の歯に塗られた椰子酒(アラック)は、唾液で中和され私の口に静かに流れ込む。
私は酔いを感じて目を開ける。

 山田詠美『熱帯安楽椅子』(集英社文庫、2014年)105頁

 

アラックって、スウェーデンのダムスーガレというお菓子に使われているリキュールと同じものだろうか?

youtu.be

 

 

ダムスーガレって、掃除機のことらしい。

お菓子に掃除機という名前を付けてしまうセンス、私は好き。

f:id:satokoromo:20210727183803j:plain

 

揚げたバナナ菓子(ピサン・ゴレン)

彼は目を輝かせる。
揚げたバナナ菓子(ピサン・ゴレン)を手にした時のように。

 山田詠美『熱帯安楽椅子』(集英社文庫、2014年)99頁

 

「ピサン・ゴレンって、どんなお菓子なんだろう?」と思い、YouTubeで検索してみた。

youtu.be

 

材料はシンプル。

素朴で美味しそう。

f:id:satokoromo:20210727114556j:plain