松前漬けの記憶

ごはんを食べ終わって松前漬けを仕込む。
するめやら昆布やらを切っていると、スイセイがテレビを見ながら横から手を出しつまんでくる。
子供のころ、茶の間に新聞紙を広げて、家族総出で作っていたのを思い出す。
昆布を切るのは子供たち、するめを切るのは父、人参は母が刻んだ。
切れ味の悪い、取っ手のところまで錆びたような大きな裁ちばさみも、しっかり目に焼きついている。
 高山なおみ『日々ごはん10』(アノニマ・スタジオ、2008年)199頁

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私も子供の頃、松前漬けを家族総出で作っていたので、これを読んだとき懐かしい記憶がよみがえった。

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布はダイソー刺しゅう布
刺繍糸はDMCの25番 すべて3本どり

+:801
E:779を2本と815を1本
Z:535を2本と414を1本
-:779を2本と3861を1本
×:975を2本と434を1本
/:420を2本と779を1本
・:436を2本と420を1本
V:437を2本と3861を1本
l:414を2本と209を1本
Λ:415を2本と210を1本

カボチャのポクポク煮

高山なおみさんの『日々ごはん』に頻繁に出てくる「カボチャのポクポク煮」。
どんなものなんだろう?と思っていたら、10巻の81頁に作り方が書かれてあった。

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だし汁などを入れず、カボチャの水分だけで煮るのだそう。
調味料は、きび砂糖、お酒、お醤油。

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布はダイソー刺しゅう布

糸はダイソー刺しゅう糸(レギュラーカラー)
左から、緑、黄、橙、朱、桃、赤紫、薄紫、濃紫、ワイン、黄土、茶、黒とする。

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♯:茶2本と黒1本
l:茶3本
・:橙2本と茶1本
V:黄土2本と緑1本
Λ:橙1本と黄2本
×:黄2本と橙1本
<:黄3本

お赤飯のお茶漬け

主人公の稔は緑茶を、姉の雀は麦茶を飲む。
でもお赤飯でお茶漬けを作るときは、それが逆になる。
全体のストーリーよりも、そういうことが気になる人には、江國香織さんの小説はたまらないはず。

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雀は麦茶派で、それもパックのものは受けつけず、炒った麦を必ずやかんで煮出すのだが、稔は緑茶の方が好きだ。
ただし赤飯でつめたい茶漬けを作るときには好みが逆になり、雀が緑茶を、稔が麦茶をかけるのだったが。
 江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(ハルキ文庫、2019年)9-10頁

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布はダイソー刺しゅう布
糸はDMC刺繡糸25番 すべて3本どり

E:3021を2本とBLANKを1本
-:646を2本と3021を1本
l:646を2本と647を1本
<:647
+:3072を2本と647を1本
□:3072
・:938を2本と433を1本
×:433を2本と3859を1本
V:3859
♯:758を2本と3859を1本
L:758を2本と754を1本
Z:754を2本と3774を1本
T:3774

本は共有できないけれどテレビならば共有できる

本ばかり読んでいる稔と別れて、テレビばかり見ている男性と結婚した渚。
「本よりはましだ。テレビならば自分も同じものを観られるのだから」と、自分自身に言い聞かせている。

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部屋じゅうに、オレンジの匂いが漂っている(ひさしぶりの"二人きり"の夕食に、カルニタスをつくったからだ。豚肉をオレンジの皮と果汁と大蒜で煮込んだメキシコ料理で、簡単な上においしいので、稔と別れたあとも――この料理のつくり方も、昔、稔に教わったのだ――、ときどきつくる)。
 江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(ハルキ文庫、2019年)230頁

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布はダイソー刺しゅう布
糸はDMC刺繡糸25番 すべて3本どり
l:677 Z:834 E:437 V:3826 ・:435 □:433 +:938
F:772 N:3348 ♯:3364 ×:3347 T:936

ソフトクリームは人の役に立つばかばかしいもの

主人公の稔と、その姉の雀。
雀が写真の賞を獲ったときに、「自分たちの喜びをささやかに、人の役に立つ形で、ばかばかしい形で」記念したいと考えて、ソフトクリーム屋をオープンさせた。

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昔から、雀も自分もばかばかしいものに目がないのだから。
何日も考えて、ソフトクリーム屋こそそれにふさわしいと思った。
雀も、とてもいい考えだと認めた。
 江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(ハルキ文庫、2019年)61頁

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私もばかばかしいことに目がないから、この小説を読んでいて、つい稔に感情移入してしまう。

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布はダイソー刺しゅう布
糸はDMC刺繡糸25番 すべて3本どり
N:739 -:738 V:422 ・:3828 ×:420 E:869
l:BLANK Λ:3072 Z:647 □:676 <:645

チーズなら無難だから

「無難だから」という理由でチーズを注文する淳子。
稔はその言葉に、はっとするのである。

チーズなら無難だから。その言葉が、すっかり胸にしみていた。
こういうことが、稔にはときどきあった。
何の変哲もない言葉に、いきなり気持ちのどこかを鷲掴みにされる。
 江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(ハルキ文庫、2019年)

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私にもこういうことがよくある。
なんでもない言葉に、いきなり気持ちのどこかを鷲掴みにされることが。

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布はダイソー刺しゅう布
糸はDMC刺繡糸25番 すべて3本どり
×:435 E:434 +:433
H:744 V:677 T:762 N:415 □:648 ・:646
Z:3823 Λ:738 ♯:977 l:976
-:BLANK F:3823 <:3072

リラの香りが漂ってくるような文体

プルーストの短編『ある少女の告白』、かなり良かった。
読んでいて、うっとりするような美しい文体。

ふと鼻先に、それにおとらぬほど清らかでみずみずしい香りが匂いました。
リラです。
母の日傘のかげになっていたその一枝がすでに花をつけ、人目に隠れて香りを放っていたのです。
 マルセル・プルースト『ある少女の告白』
 (岩波文庫、1991年、山田稔編訳『フランス短篇傑作選』収録、69頁)

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プルーストといえば『失われた時を求めて』。
あまりに長いお話だから敬遠していたけれど、読んでみたくなった。
文庫で全十四巻、どうしようか迷う。

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布はダイソー刺しゅう布
糸はDMC刺繡糸25番 すべて3本どり
♯:BLANK ×:415 l:414 E:936
T:3325 Z:210 □:209 V:208 -:550